変わることのない世界で

小さな物語の断片
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僕と私 δ
賭けだと分かっている、だからこそ敵も、ましてや味方も作らないつもりだった。それは自らを窮地に陥れる状況作りに他ならない、と思っていたからだからこそ、貴ちゃんと言う協力者以外は作らないつもりだった。それなのに、馬鹿だと思った。男であろうと決めた初日、挑んだその場所で情けなくも“私”はあっさりと女だと見破り、あまつさえ貴ちゃんとの会話を盗み聞きされたその相手の笑顔と言葉に一瞬で惹かれた。

「……まさか転校生が女顔ってだけじゃなくて本当に女だったなんて」
「っ、お前」
「染谷蓮?大貫蓮?」
「……何が目的だ」
「別に。ただ、退屈だから。楽しめそうだから」

言い触らしたり漏らしたりしねーよ、と嘯く男。名前は何と言ったか。

「高槻、ふざけるな」
「ふざけてないって。だったら俺のこと見張ってればいいんじゃないの?担任として」

そうだ、高槻。高槻司。“俺”の自己紹介の時に人のことを散々観察した後つまらなそうに窓の外を見ていた男だ。何で関わる、何で近づく、何で首を突っ込む。面倒なことになった、と思わざるを得ない。

「どうしてそれを信じられる、どうして」
「別に信じろとは言わないけど、確かめてみてもいーんじゃねぇの?そうだな、卒業するまで、とか?」

疑われているのにそれを露ほどにも気にせず、きょとんとした顔でさも楽しそうに笑って言葉を続ける姿に間違いなく心奪われた。それは大貫蓮としても持つにはあまりにも重い感情で、染谷蓮として持ってはいけない感情で。
自分の感情を押し殺すのは簡単だ、気づかない振りをすればいい。けれどもあまりに突然にやってきたそれは押し殺すよりも先に確実に気づいてしまい、確信してしまった。

「疑うのも結構。でも、一年とちょっと。終わる前にくたばっちゃ意味ないんじゃねーの?」

ま、お前がんな簡単にくたばる器とは思えないけど。

初対面で何が分かる、とか知った風な口を利くなとか強がりでも逃げ口上でもなく本当の意味でそう言えたはずなのに何も言えずただその笑顔に目を奪われた。
まるで落とし穴に落ちるように、堕ちた。
それでも、その気持ちは誰にも見せず、分からないように。
封じ込める。

「……いいぜ、その言葉、乗ってやるよ」

売り言葉に買い言葉。でも高槻司と言う一個人に俺が興味を持ったのもまた事実。驚く貴ちゃんを横目に、自分自身を騙すように挑発的に笑って見せた。

「存分に利用させてもらう」
「どーぞ、ご自由に」

ただの賭けを有利に進めるための駒が増えたと思えばいい。そう自分に言い聞かせて俺は深く息を吸い込んだ。



上に立つ人へ・五題
手の内は明かさない
 リライト様より拝借
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僕と私 γ
「染谷、お前に面会人だぞー」
「は?俺に?」

嫌な予感はしていた。それでも逃げ場などなかったから出向くしかなくて、わざわざ学校と言う逃げ場のない場所で待ち伏せていたことを考えると余程暇らしい。

「染谷君、知り合い?」
「いや、まだ誰か知らないし」
「何か大人の男、って感じの人」
「みっちゃん、俺に面会って誰。わざわざ学校まで来るような知り合いに心当たりないんだけど」
「会えば分かるって」
「――蓮」

嫌な予感が的中したのをみっちゃんの言葉に被さって聞こえてきた名前を呼ぶ声に知る。わざわざ何の用だ、と食い掛かりたいのを懸命に堪えて呆れ顔で応じる。

「……妹尾さん。わざわざ学校まで何の用っすか」

冗談きつい。妹尾拓馬、俺が縁談を破棄しようとしているまさにその相手、張本人だ。長身痩躯、髪の色は淡い茶色で瞳は漆黒。見目は確かに映える。頭も悪くない、そりゃあ妹尾家の御曹司様だ、馬鹿じゃ困る。ただし、性格は最悪。冷酷にして非情、傲慢にして無礼。使えるものは何でも使う、自分の為だけにすべての権力を行使し手に入れようとする男。

「冷たいな。もう授業は終わったんだろう?なら一緒に食事でもと思ってね」
「親父に言われた?」
「まさか。俺個人のお誘いだよ」
「−−ならそれ、俺も同席していいっすか?」

 警戒心むき出して、敵意を押し隠しもせず妹尾と対峙していると後ろからひょこっと俺の心臓に悪い登場の仕方をしてくれた。何を考えているのか、問いただしたい気分だったが、今はその何気ない不遜とも傲慢とも取れる一言が救いになったので何も言わず、ただわざとらしく驚いて何を言ってるといわんばかりの言い方をする。

「司、何言ってんだよ」
「いやー別に」
「君は?」
「蓮のクラスメイトですけど。明日の小テストの勉強蓮に見てもらう約束してるんすよ。だから、一緒に行ってもいいかな、と」

いつそんな約束をした、そもそも明日の小テストは本当に基礎の化学で勉強なんて要らないはずだ。と言うことは、高槻が機転を利かせてくれたのだろう。

「仕方ない、また出直すよ」
「いや、わざわざいいっすよ。忙しいでしょう?」
「蓮、君のためなら多少の時間は惜しまないさ。じゃあ、また」

さわやかに言ってのけるその目は笑っていない。軽く叩かれる肩、ああこの手を振り払い悠然と笑っていられる強さと力、そして何より勇気があればいいのにと自分の非力さを恨む。俺より賢くて経験もある年上の男、そのポジションが脅威で成らない。怖いのだ、手段を問わない、何でも出来てしまいそうな彼が。彼に抱くのは尊敬なんてものでも、ましてや恋慕などと言う甘いものでもない純粋な恐怖、畏怖。その気になれば勝手に縁談を進める、或いはこの学校から退去させることだって可能なはずだ。それをせずにいるのはなぜか、分からないから余計に恐怖心を煽る。

「蓮」
「っ、大丈夫だ」
「あれって」
「……婚約者。某メーカー社長妹尾賢治の長男」
「へぇ、あれが」

興味深げに後姿を見る高槻に震える手が見えないよう力強く手を握り締め、唇を噛んだ。



上に立つ人へ・五題
どうか勇気をこの手に
 リライト様より拝借
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僕と私 β

「条件出したのそっちだぜ?それを俺は呑んだ。今更確認するのはおかしいんじゃねぇの?」
「しかし、あちらがかなりの財力を持っているところの子息であることはお前も重々承知しているはず、違うか?」
「違わねぇよ?だから?大貫家の子供が男じゃなく女、それも俺一人なのは俺の責任じゃない、ってか誰の責任でもない。家を継ぐのも結構。けど、ただの金持ち坊ちゃんと政略結婚して、そいつに実権すべて握られて貞淑ないるだけの妻を演じるなんてごめんだ。知識も教養も自分の身を守る術も身に着けてきたつもりだけど、まさか今更あんな条件出して契約交わしておきながらやっぱり頼りないから、体裁が悪いからとか言うわけないよな?」

どこか冷ややかな、殺伐とした部屋でのやり取りは、とてもじゃないが親子の交わすものとは思えないな、と他人事のように思いながら蓮は口元だけに笑みを浮かべ、目の前の男に冷徹な視線を浴びせた。間違いなく実父で尚且つ大手企業の社長である男は実の娘であるにもかかわらず厳しくまるで他人に接するかのような態度で蓮に返す。

「本当にそう思ってるのか?」
「ああ、思ってるさ。少なくとも今まであんたが仕向けた奴らを伏せられるくらいにはな」
「…………」
「用はそれだけか?なら俺はもう行くぜ。あんたが出した条件だ、契約だ」





「…………なんでここにいるんだよ」
「いや、女な蓮が見れるかと思って」
「馬鹿言うな。んなもん見てどーする。気持ち悪ぃだけだ」
「それもそうか」
「てめっ……」

家を出ると何故か門の横に司がいて驚くも、次の瞬間には平静を装った蓮に面白くなさそうに司はつぶやいた。蓮は強い。大手企業の唯一の子息にして跡取り候補と言われ続け、知識も教養も身につけた。遊ぶ暇など殆どないくらいに詰め込まれたにもかかわらず周りからは女だから、ただそれだけの理由で馬鹿にされ、不安がられたことだって少なくない。それなのに平然と何事もなかったかのように振る舞い、笑い、毅然とした態度ですべての物事にぶつかっている。その姿が美しいと思う反面痛々しいとも感じてしまい、司は乱暴にその頭を撫でた。

「何っ」
「なんでもねー。明日英語と体育変更だってよ」
「あーじゃあ俺寝てるからいいわ」
「ずりぃ」
「特権」

下らない会話をせめて楽しんでもらえるように、と司はそっと蓮に笑いかけた。





上に立つ人へ・五題
肩に掛かる全ての重圧
 リライト様より拝借
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僕と私 α
 
「染谷蓮、ってお前だろ?ほんと女みてぇな顔してんのな」

ニヤニヤと下卑た笑いを浮かべ、女なんじゃねーの?と嘯く上級生に、転校して来てから一ヶ月。何回目だ、といい加減切れたくなる気持ちを抑えて最上級の笑みを浮かべる。勿論怒りを押し込めた営業スマイルだ。

「何ですか、もしかして告白ですか?悪いんですけど俺、男にキョーミないんで」
「ああ?ふざけてんのか?」
「ふざけてる?先輩が、ですか?いやぁ、いきなり名乗りもせず無礼千万な口を開いたのでそうかと思ったんですけど、ふざけてたんですか?」
「っ、てめぇ」

女みたいな顔、と言うのは否定しない。いちいち否定してたらキリがないし事実を否定するほど馬鹿じゃない。しかし、十分と言う短い時間でわざわざ来る奴の気が知れない。

「やだなぁ、そんなに怒らないで下さいよー」

繰り出された拳を受け止めながら笑顔で言えば流石の上級生も顔が引き攣っているのが分かる。相手の力量も分からず挑むもんじゃないっつーの。

「蓮、また遊んでるの?」
「アホ、どこをどー見たらそう見えるんだよ」
「いや、これから遊ぶんなら俺も混ぜろよ?」
「馬鹿言え。お前またみっちゃんの説教喰らいてぇのかよ」
「俺は逃げるっつーの」

やってきた高槻と軽口を交わしてると相手がそろそろ我慢ならなくなったのか、動こうとするが、そう簡単に動かせるような掴み方はしていない。そろそろ貴ちゃんが来る頃だし。最近、休み時間は心休まらない。

「高槻、次授業なんだっけ?」
「次はー何だっけ?」
「数学だ。……ったく、山口、お前次倫理だけどいいのか?」

やってきた担任にして従兄の二谷貴裕に相手は舌打ちしてすごすごと帰っていった。

「お前は何してんだ」
「仕方ねーじゃん。顔の造りまで変えられないし」
「まあ、実力あるからもう殆ど疑ってねぇしな。蓮がこんなとこで潰れるたまかよ」
「普通は性別偽って通学しねぇけどな……」

あくまでも小声の会話。こんなところで潰れる器だとは思いたくない。染谷蓮、男子学生として通ってるが本名は大貫蓮――女である。頑固親父との賭けで、男として卒業できたら無効にしてやる、と言う賭けだ。

「――まだ一年半以上あるんだぜ?負けてられるかよ」

こんなところで潰れるか。大貫蓮を捨てて、今は染谷蓮に徹してやる。
高槻の視線を感じながら貴ちゃんに促され席に着いた。




上に立つ人へ・五題
「人の上に立つ器」
 リライト様より拝借
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上に立つ人・五題 二月消化お題
 リハビリ・文章力向上を狙っていい加減まとまった短い話が書きたいなと思っています、神無です。
と言うわけで、今月消化お題。卒研発表終わり次第やります。まあ途中海外逃亡しますが。単純にありえない設定の話が書きたくなっただけ、っつーのもあるんですが


上に立つ人・五題 リライト様より

『僕と私』

取引、駆引き、応じる以外に道などないほど追い詰められていたから藁をも掴む思いで二つ返事で了承した。
あまりにもハイリスクなゲーム、その代償は私の自由――。


染谷蓮(大貫蓮)
高校二年生。大手企業社長の父親とは犬猿の仲。負けず嫌いで自信家。勝手な縁談にぶち切れ、宿敵である父親とあるゲームをすることに。
英才教育は受けているので賢く、また運動神経もずば抜けて良い。護身術もお手の物
ただしその分表情を作るのも上手い。人当たりはいいが、根本で人を信用しない


高槻司
高校二年生。蓮のクラスメイト。俺様でしかし、気遣いが上手く慕われている。観察力に長けている。
リーダー気質だが目立つことをあまり好まない。頭の回転が速く、運動神経も良いがサボりの常連
物事にあまり執着しないが、その分、気に入ったものは容易なことでは離さない






頑張りますぜぃ


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Signal night


‐‐出かけるんじゃなかった。

街に繰り出して十分も経たない内からそう思ってしまい茜はそれは深い深いため息を吐いた。色とりどりに飾り付けられている木々と輝くイルミネーション。自分の住んでいる場所がクリスマスには賑わう名所となっているのが運の尽きだったかと今更ながら思う。街行く人々はその大半が幸せオーラを撒き散らしていて今現在フリーで目下片思い中の茜にとってみればそれは嫌がらせ以外の何者でもない‐‐とは言うものの、好き好んで外に出たのだから自分で自分に罰ゲームを課している様なものだったが。それに、茜はモテる。実際にクリスマス前には数人から告白された。にも関わらず、こうして一人でいるのはそれらをすべて断ったからなのだが。片思い中の相手以外と過ごす気はないと言う決意の表れだ。
家に帰ったら帰ったで年中仲の良い両親と姉とその恋人がいるだけなので帰る気もないわけだが。

「あれ、茜ちゃん?」
「っ、三原。何して」
「んー、バイト。ケーキの売り込み。ってか何で一人?あんなに呼び出し食らっといて」
「好きでもない女と過ごす気なんてないっつーの」

茜‐‐基、立川茜。名前は女の子のようだが178cmに64kg、元サッカー部と言う立派な男である。そして、その茜に声をかけたのは三原暁。162cmに49kg、現在はサンタクロースのコスチュームを身に纏っている正真正銘、茜の片思い中の相手である。

「へぇー、好きな子いるんだ?誘わなかったの?断られたとか?」
「うるせーよ」

バイトだ、ってきっぱり言い切ったのはお前だろ!と言いたいのをぐっと堪えて茜は暁を見た。学校ではいつもジーンズにトレーナー、と言った感じの暁のミニスカート姿は新鮮で顔が赤くなるのを必死で隠しながら何とか声を絞り出す。

「お前こそ、一人でバイトに勤しんでんじゃねーか。振られたんじゃねぇの?」
「振られてませんー。まあ告ってもいないけどね。相手モテるし?」

好きな相手がいると言う事実を突きつけられ茜は固まった。誰だよ、と問い詰めようとしたが運悪く客が来てしまい暁はその相手に回ってしまった。

「バイト、終わるの何時だよ」
「ん?売り切ったら上がり。まあ八時とか九時とかそんくらいじゃない?」

時計を見れば現在六時。
あと二、三時間かと確認して茜は勇気を振り絞って言った。

「終わったら連絡寄越せ。どーせ暇なんだろ?少し付き合え」

こんな言い方しか出来ない自分に苛立つも、暁の方は少しも気にしない感じで、と言うより突然の事に驚いているようでまじまじと茜を見ている。

「茜ちゃん?」
「何だよ」
「……分かったよ。遅くなっても知らないよ?」
「別に」

ぶっきらぼうに答えて、茜は心の中でガッツポーズしながらその場を後にした。







「随分早かったな」
「あー、うん。何かオーナーが中で見てたみたいでね?待たせちゃ悪いでしょ!って早く上がらせてくれた」

後でお礼しなきゃねーと無邪気に笑う暁を見て茜は自分の胸が高鳴るのを感じた。手の中にはさっき購入したばかりのプレゼント用のネックレス。姉に知識を無駄に仕込まれていた分それほど迷わずに用意できたのは良かった。玉砕するのは目に見えている。けれど用意せずにはいられなかったのは茜がロマンチストだからだろう。
いつ切り出そうか、いつ言おうか。
街を歩きながらそんなことばかり考えていると不意に暁が立ち止まり茜を真正面から捉えた。

「何だよ」
「ねー、茜ちゃん。茜ちゃんは何となくかもしれないけど、こんな日にあんなこと言われたら期待しちゃうよ?」
「……好きな奴いるくせに何言ってんだよ。そっちこそ期待させんじゃねーよ」
「は?何でそうなるの」

無駄に恋愛経験のある茜だ、決して疎くは無いが打ち砕かれる希望は抱きたくない。

「あのな、何で俺がわざわざお前のバイト先の近くにいたと思ってるの?わざわざ告白断ってまでさ。気付けよ」
「……言わせて貰うけど、じゃあ何で私がわざわざバイト後にあんたに会ってると思ってるの?自分がモテるって自覚ある?」

お互いに顔を見合わせると、二人とも真っ赤でそれでもどこか嬉しそうで。

「ったく馬鹿みてぇ。んじゃあ、デートと仕切りなおしますか」
「うん。エスコートよろしく、茜ちゃん」
「……とりあえずその“茜ちゃん”ってのやめろ」
「あー、じゃあ“茜”?」
「っ」

名前で呼ぶと真っ赤になった茜を見て笑う暁を恨めしげな目で見る茜。それでも次の瞬間には悪戯っ子のような笑みを浮かべていた。
口を暁の耳に寄せて何かをつぶやく。真っ赤になった暁に満足げな顔を浮かべると茜はその手を取り街の中へと消えていった。




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コンビニ・ララバイ
  今回読んだ本;コンビニ・ララバイ 池永 陽


小さな町の小さなコンビニ、ミユキマート。
オーナーの幹郎は妻子を事故で亡くし、幸せにできなかったことを悔やんでいた。店には、同じように悩みや悲しみを抱えた人が集まってくる。堅気の女性に惚れてしまったヤクザ、声を失った女優の卵、恋人に命じられ売春をする女子高生…。彼らは、そこで泣き、迷い、やがて、それぞれの答えを見つけていく――。

温かさが心にしみる連作短編集。
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WILL
評価:
本多 孝好
集英社
¥ 1,680
(2009-10-05)

 今回読んだ本;WILL 本多 孝好



18歳のときに両親を事故で亡くし、家業の葬儀屋を継いだ森野。29歳になった現在も、古株の竹井と新人の桑田、2人の従業員とともに、寂れた商店街の片隅で店を経営する。
アメリカに住む幼馴染の神田とは、時折電話で話をする。かつて甘美な関係を築いた彼との今後については、彼女自身が結論を先送りにしたままだ。
日々淡々と、社長としての務めを果たす森野のもとに、仕事で関わった「死者」を媒介にした、数々の不思議な話が持ち込まれてくる――。
高校の同級生・杏奈の父親の葬儀。その直後に安奈のもとに届いた“死者からのメッセージ”。
一度家族のもとで執り行われた老人の葬儀を「自分を喪主にしてやり直して欲しい」と要求する女。
十数年前に森野の両親が葬儀を行った男性の妻の元に通いつめる“夫の生まれ変わり”の少年――「死者」たちが語ろうとするものは何なのか?
それぞれに潜む「真実」を、森野は探っていく…。

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となり町戦争
評価:
三崎 亜記
集英社
¥ 500
(2006-12)

 今回読んだ本;となり町戦争 三崎 亜紀



 ある日、突然にとなり町との戦争がはじまった。だが、銃声も聞こえず、目に見える流血もなく、人々は平穏な日常を送っていた。それでも、町の広報紙に発表される戦死者数は静かに増え続ける。そんな戦争に現実感を抱けずにいた「僕」に、町役場から一通の任命書が届いた…。
見えない戦争を描き、第17回小説すばる新人賞を受賞した傑作。
文庫版だけの特別書き下ろしサイドストーリーを収録。
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『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内(新潮新書)
評価:
小谷野 敦
新潮社
¥ 756
(2009-04)
コメント:名作を斬る!

 今回読んだ本;『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内 小谷野 敦


読むべきは、長篇か、短篇か?
『源氏物語』か、『金閣寺』か?
『三国志』か『水滸伝』か?
ドストエフスキーかシェイクスピアか?
川端康成か芥川龍之介か? 文 学に普遍的な基準はありません。面白いと思うかどうかは、読者の年齢や経験、趣味嗜好に大きく左右されます。「もてない男」に恋愛小説が、そのケのない人 に同性愛的文学がわからなくても、仕方のないことです。世評高い漱石の『こころ』やドストエフスキーは、本当に面白いのでしょうか? 世界の古典を「大体 読み終えた」著者が、ダメならダメと判定を下す、世界一正直な名作案内。


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