変わることのない世界で

小さな物語の断片
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涼しい夏をのぞんでいたが、そうは、問屋がおろさない。
部屋の中に置いてある温度計は36度を僅かながらも越えていて、嫌になりながらも扇風機にかじりつくようにしていた。
なんでこの時期に冷房が壊れるんだ、とついてないにも程がある、と呪いたくなる。

「あの部屋で寝るとか地獄でしかないだろ、どう考えても」
「だからってなんでうちに来るのか分からないんだけど。倫也のとこ行けばいいでしょ」
「『一週間彼女来るけど、それでも良いならいいけど?』と笑顔で言われ諦めました」

呆れたように、それでも決して追い返さないことを知っているからこそ来たのだけれど茉莉香も無防備だと思う。彼氏でもない男、それも自分に好意を寄せている男を上げるなんて。
まあ、何かする気はないからいいんだけどさ。今のところは、なんて暑さで相当参ってるな、思考回路が。
大学最後の夏、好きな子と一緒に過ごすには好都合の理由が出来たとは思う。勿論、本当に暑くて我慢ならないっていうのもあるけれどそれでも恋する若者としては自由に過ごせる時間を満喫したいわけだよ。来年はどうなるか分からないわけだし。

「さっさと直しなよ。今度は冬に死ぬよ?」
「来週修理が来てくれるから大丈夫。本当は俺が来てくれて嬉しいくせに」
「そうだね、料理できる人間が来てくれて助かりはするねー」

くすりと笑うその笑顔にとことん弱い、惚れた弱みってやつだとは分かってるけどもうどうしようもない、絆されてしまう。自分勝手で気ままな猫のような奴だけど、離れられない。ああ、重症ってか重病?

「マリ、最近どーよ?」
「何、それ。別に普通だけど」
「男、連れ込んでねぇ?」
「誰を連れ込むの、誰を。うちに押しかけるのなんてあんたか佐中ぐらいだし。んで、手土産は?」

本当にちゃっかりしてる。黙って買ってきたプリンを差し出す俺も俺だと思うけどそれはもうそれだ。他の男に渡したくなくて足繁く通う俺は通い妻さながらだ、彼女ですらねーけど。振られた女のもとに通い続ける自分ってのはなんだか虚しいものがあるけれど、譲れないもんってのもあって。まあ、だからこそこうして今ここに真っ先に来ているのだけれど。

『真人のことは好きだけど、今はそういう気分になれない』

あの時の衝撃と言ったら半端なかった、今だって何だそれはと叫べる自信がある。けど、その『好き』という言葉に甘んじてる俺も男としてどうなのよとは思う。今のままでいいのかと聞かれれば答えはNOだが、今の関係を崩したくないのも事実で。情けない、俺。

「しかし、本当に涼しい。俺は幸せだ」
「ふーん。涼しいから、だけ?」

……え?

思わず茉莉香を見れば唇に温かい感触。え?

「せっかく持ってきてくれたことだし、プリン食べようか」
「え、ちょ、茉莉香さん」
「真人が私の満足する言葉をくれることを期待してるよー」

笑う茉莉香に体が火照るのがわかる。あれ、俺涼みに来たはずなんだけどな。
幸せな気分で涼しく過ごそうと思ったけれど、その予定は最初から崩された。
慌ててキッチンに消えた茉莉香のもとへ行き、もう何も考えられず思うがまま言葉を口にした。


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どうもお久しぶり、ラブコメです。
しかし、駄目ですね。久しく書いてなかったら腕がより一層鈍ってますとのこと。
日常的に書かなきゃだめだなぁと痛感しました。
よし、色々と頑張ります!

自分が男だったらどうなんだろうなぁ、と考えて押しの強い女の子に弱そうだなと考えてたら真人がヘタレになりました←
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