変わることのない世界で

小さな物語の断片
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決意
戦場の恐怖も危険も身をもって知っている、そんなシエラからの連れて行けという言葉には耳を疑わざるを得なかった。そのまっすぐな紺碧の瞳はどこか挑発的にアッシュに向けられている。アッシュはその視線を真っ向から受けながら致し方ない、と言った風に諦めの溜息を吐いた。

「待つだけなんて出来るわけないじゃない」
「シエラ」
「守れられるだけ、もごめんよ?」

毅然と言い放つ姿は凛々しくあったが同時にどこか縋るようでもあった。強さと脆さが混在した瞳は危なげに揺れていた。

「アッシュ?」
「自分の身は最低限自分で守れよ?」

降参のポーズでの台詞はついて行くことの許可だ。瞬時に輝いたシエラの瞳に最初から勝ち目などあるはずもなくアッシュは頭を抱えた。何も危険なのは敵軍だけではない、ということをよもや知らないはずがないのに。
羨望と嫉妬の的になってることを知らないはずがない、事実若干二十五歳にして五本指に入る凄腕の女騎士ともなればそれは他の比ではないのだ。同性からの嫌がらせだけではなく、丸腰のところを数人の男に襲われたコトだってある。最も、その時は格闘技で伏してやったのだが。

「勿論。ありがとうっ」
「ったく。終わったら美味い飯食わせろよ」

シエラにとってアッシュは一番の理解者で、ついていきたがるのは単純に置いて行かれる様な気がして嫌だったのだろう。シエラは生への執着が強い、だからこその腕ともいえるのだが。
凛とした面立ち、すらっとした肢体、どこまでもまっすぐな視線。けれどその内面はとても繊細で脆い。だからこそその手をそっと取ってやる。

「大丈夫だ、お前は強い」
「当たり前でしょ。でも、ありがと」


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強くなったのは弱さを隠すため
闘うのは生きるため
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